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Demonstrators hold a banner as they take part in a march to call for gender equality and protest against gender discrimination, marking International Women's Day in Tokyo, Japan March 8, 2024. (©REUTERS/Issei Kato)
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3月8日は「国際女性デー」だ。
国連が1975年に提唱し、77年の国連総会で議決した。女性の地位向上や女性差別の払拭などを願った取り組みが、世界各地で毎年行われている。
イタリアでは3月8日に男性が女性に感謝の気持ちを込めてミモザの花を贈るならわしがあるため、「ミモザの日」と呼ばれるようにもなった。
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女性を巡る課題の解決を進め、職場でも家庭でも、女性の個性と能力がより発揮できる日本にしたい。
男女の賃金格差は依然大きく、厚生労働省によると、女性の平均賃金は今年1月時点で、男性の69・5%にとどまった。要因には、女性の非正規雇用の比率の高さや、女性管理職の少なさが指摘されている。
経済協力開発機構(OECD)の国際比較では、日本の企業の女性役員比率は一昨年15・5%で、先進7カ国(G7)中、最下位だった。
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政府は東京証券取引所の最上位市場に上場する企業の女性役員比率を、令和12年までに30%以上にする目標を掲げている。国家公務員については本省の課長級の女性割合を、7年度末までに10%にすることを目指している。男女の格差是正の機運を全国に広げることが重要だ。
女性特有の健康問題の解決に向けた取り組みも一層進める必要があろう。企業は柔軟な働き方ができる制度を整備しているか、男性従業員の理解は深まっているかなどについて再点検してはどうか。
セクハラや妊娠・出産、育児休業に関するハラスメントなどの都道府県労働局への相談は絶えない。セクハラ被害は男女ともにあるが、女性に目立つのは確かだ。社会全体で「女性を守る」という意識を高めることが欠かせない。
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LGBTなど性的少数者への理解増進法が昨年成立したが、女性の安全、安心を確かなものにしなければならない。女性だと自認する男性が、女子トイレなど女性専用のスペースに入る恐れは払拭されていない。政府と自治体はこの問題への対応も急いでもらいたい。
世界に目を転じれば、アフガニスタンなどで女性が抑圧されている現実がある。日本外交には、改善に向けた働きかけが求められる。
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2024年3月8日付産経新聞【主張】を転載しています